先週の3/5(土)に、UX KYOTO 中級編ワークショップ「構造化シナリオ法・プロトタイピングを活用したサービス開発(全3回)」の前編を開催いたしました。
会場のMTRL KYOTOは、昨年12月にできたばかりのドロップイン型クリエイティブラウンジ。
デスクワークやミーティングはもちろんのこと、工作やイベントなども行える、まさにマルチなクリエイティブスペースです。
モダンな内装と、日当たりの良い解放的な空間の中、今回のワークショップが始まりました。
1. 講義と課題説明
前編のテーマは「構造化シナリオ法」。
まずは、浅野先生による講義にて「UXとは何か」をみんなで復習します。
講義を聞いて改めて思ったのは、「UXはあらゆる事象に適用できる」ということ。
UXとは「モノ」ではなく「コト」、つまりサービスについて考える手法なので、どんな業種にも必要不可欠なことです。
仕事の間だけでなく、普段の生活の中でも、UXを意識してみるとたくさんの発見がありそうですね。
浅野先生は旅行に行くと、その国の券売機をついつい観察してしまうそう。
私も、日々の中でユーザーとしてUXを意識し考える癖をつけてみよう、と思いました。
さて、講義後はワークショップに突入です。
5つのチームにわかれ、実際に手を動かしていきます。
今回先生から与えられた課題は
「京都を訪れる外国人観光客の新しい旅を実現・支援するためのサービスを考える」。
京都旅行の中でこれまでにないうれしい体験ができたり、今までよりも効率がアップしたり…
そんな画期的な製品・システム・サービスを考えます。
浅野先生が用意してくださったのは3つのペルソナ。
異なる趣味・嗜好・目的をもった外国人観光客ペルソナが、各チームに振り分けられました。
2. バリューシナリオの作成
まずはバリューシナリオを作っていきます。
ユーザーにとっての価値(ユーザーが嬉しいこと)と、ビジネスにとっての価値(企業が嬉しいこと)を整理したシートを用いながら、それぞれを満たすようなシナリオを考えていきます。
これは今後つくっていくサービスの基本となる、とても大事な作業。
だからこそ非常に難しく、チーム内であれこれディスカッションしながらみんなで頭をひねりました。
「ワークショップで大事なのは、とにかく完成させること!」
という浅野先生の言葉に、頭だけでなく必死で手も動かしていきます。
3. アクティビティシナリオの作成
次は、このバリューシナリオを元に、アクティビティシナリオを作成。
ペルソナがそのサービスを使う1シーンを書いていきます。
ユーザーの具体的な動きを想像しながら書いていくのですが、ここで気をつけるのは、具体的なインタラクション用語を一切使わないこと(例えば「クリックする」とか「アプリを立ち上げる」とか)。
つまり、モノではなくコトに着目したシナリオです。
誰にでもわかる(浅野先生いわく「例えおばあちゃんが読んだとしても理解できる」)言葉を使うことで、モノに依存しない、ユーザーの本質的な欲求を明確にすることができます。
簡単なようで非常に難しいこの作業。
普段無意識のうちに使っているインタラクション用語を、「一体それは何の欲求の結果として出てきているのか?」から考えなくてはいけません。
それをひとつひとつ解剖していくうちに、ユーザーの欲求がクリアに浮かび上がります。
それができたら、ユーザーの動きをタスクとして整理します。
4. インタラクションシナリオの作成
次は、インタラクションシナリオの作成です。
アクティビティシナリオで整理した、ユーザーの欲求を叶えるためのタスクを、具体的な「操作」に落とし込みます。
デバイスやソフトなど、実装についてのアイデアをここでまとめていくのです。
ここでやっと、普段の仕事で使っている知識の出番!
チーム内でユーザーの行動を検証していきながら、サービスの外側を作っていきます。
アクティビティシナリオでは、時代に左右されない本質的な欲求が見え、
インタラクションシナリオでは、その欲求を現在の技術で実現する方法が見えてきました。
このふたつのシナリオで、時代の流れに呼応した、本質的なサービスを作っていくんだなと学びました。
5. まとめ
今回はここまで!
ひとりのペルソナの文脈を読み解き形にしていく内に、時間があっという間に過ぎました。
改めて、「モノ」ではなく「コト」を考える大切さ・難しさを実感した5時間でした。
次回のワークショップは4/2(土)、中編のテーマは「ペーパープロトタイピング」です。
今日つくったシナリオをもとに、プロトタイピングの作業に入ります。
ここからどんなサービスが生まれるのか、とても楽しみです!
最後にはみんなで懇親会を行いました。ピザとドリンクで乾杯!
あと2回のワークショップ、皆様引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
今回のワークショップについては、下記の各ブログでもレポートしております。
ぜひ合わせてお読みください!
www.oikaze.jp
suitosha.co.jp
▼浅野先生のブログ
UX京都中級編#01構造化シナリオ法 | 経験デザイン研究所